前回、最初の一歩は1つだけ選ぶ、というお話をしました。今回はその続きで、スマホに入れるアプリの本数の話です。ポイ活の記事を読むと「まず入れておきたい10選」のような見出しが並びますが、最初から10本入れて続いた方を、私はほとんど見たことがありません。この記事では、アプリを増やすと具体的に何が起きるのか、1本目に向いているアプリの条件、入れる前に確かめること、通知の整え方、そして2本目を足すかどうかの判断基準までをまとめます。
アプリを増やすほど手間が増える
ポイ活アプリは、入れた瞬間から少しずつ手間を要求してきます。ログインボーナスのタップ、期間限定ポイントの確認、キャンペーンのエントリー。1本あたりは1分にも満たない作業ですが、これが5本になると毎日5分前後、月に換算すると2〜3時間ほどになります。
ここで一度、第1回でお伝えした「時間あたりで見る」という物差しを当ててみてください。5本を毎日開いて月に600円ぶんのポイントが貯まったとして、費やした時間が2時間半なら時給は240円ほどです。本数を増やしても、増えるのは主に手間のほうで、ポイントは同じ比率では増えません。同じサービスの中で使う(楽天なら楽天市場と楽天カードと楽天ペイをそろえる)ときには相乗効果が出ますが、無関係な会社のアプリを横に並べても、それぞれが独立して手間を要求するだけです。
最初の1か月は1本。これで十分に「自分に合うかどうか」は判断できます。

増やすと管理できなくなる理由
手間が増えるだけなら、まだ意志の力でどうにかなります。やっかいなのは、本数が増えると管理そのものが崩れることです。崩れ方には決まったパターンがあります。
通知が増える
ポイ活アプリの通知は、基本的に「今すぐ開いてほしい」という設計でできています。セール開始、ポイント付与、期限が近い、といった内容が、1本につき1日に数回届きます。3本入れれば1日10件前後になり、そのうち本当に自分に関係があるのは1件か2件です。
この状態が2週間ほど続くと、人は通知を読まなくなります。読まなくなると、家族からの連絡や配送の通知まで、まとめて見落とすようになる。ポイ活を始めたせいで生活の他の部分が雑になるのは、順番が逆です。通知の整え方は後半で具体的に書きます。
期限を見落とす
ポイントには有効期限があり、キャンペーンでもらう期間限定ポイントほど期限が短く設定されています。楽天やdポイント、PayPayなど主要な経済圏はいずれも、通常ポイントと期間限定ポイント(期間・用途限定ポイント)を分けて管理しており、後者は付与から1か月前後で消える設計のものが多くあります。制度の詳細は各社で異なりますし変更もありますが、「期限の短いポイントが存在する」という点はどの経済圏にも共通すると考えて差し支えありません。
アプリが1本なら、その1本のポイント残高画面を見れば期限が分かります。5本になると、5か所を見て回らないと分かりません。そして人は5か所を見て回りません。結果として、貯めたぶんが静かに消えます。手間をかけて貯めたポイントを期限切れで失うのは、ポイ活のいちばんもったいない失敗です。
どこで何を貯めたか分からなくなる
もう一つ、後から効いてくるのが「棚卸しができなくなる」ことです。ポイ活を半年続けたとき、いくら得したのかを知りたくなります。ところが3本4本と入っていると、それぞれの残高、それぞれの交換レート、交換にかかる手数料や日数がバラバラで、合計が出せません。合計が出せないと、続けるかやめるかの判断もできない。第4回で家計簿への落とし込みを扱いますが、その前提として、最初のうちは「1本=1つの残高」で管理できる状態を保つのが結局いちばん楽です。
1本目に向いているアプリの条件
では1本目に何を選ぶか。前回の「毎日使うサービス・すでに持っているもの・手続きの少ないもの」という基準に、アプリならではの条件を足します。
第一に、すでに使っている支払いや買い物に紐づくもの。コンビニやドラッグストアでいつも出しているポイントカードのアプリ版、日ごろ使っているキャッシュレス決済のアプリ、よく買い物をする通販サイトのアプリ。新しい行動を増やさずに済むぶん、続きます。
第二に、ポイントの出口が生活と地続きであること。貯めたポイントがそのままスーパーやドラッグストアの支払いに使えるか、通販の代金に充てられるか。交換手続きを何段階も踏まないと使えないものは、1本目には向きません。
第三に、運営会社がはっきりしていること。アプリストアの提供元表示と、公式サイトの会社概要が一致しているか。これは3本目4本目ではなく、1本目こそ確認する習慣をつけたい部分です。
逆に、1本目に向かないものもはっきりしています。歩数や移動距離で貯めるタイプは手軽に見えますが、位置情報を常時取得するぶんバッテリーの減りが早く、貯まる量に対して不満が出やすい。広告動画を見て貯めるタイプやゲーム系は、時給に直すと最も割に合いません。稼げるかどうか以前に、「毎日3分以上かかるものは1本目にしない」という線引きが有効です。
1本目は「新しく始めること」がゼロで済むアプリを選ぶ
入れる前に確かめること
インストールボタンを押す前に、3分だけ手を止めてください。確認するのは4点です。
運営会社の名前と所在地が公式サイトに書かれているか。ポイントの有効期限が何か月なのか、あるいは無期限なのか。貯めたポイントを何に交換でき、最低交換単位はいくらか。そして退会の方法がどこに書かれているか。とくに最後の退会方法は、入る前に見つからないアプリは、やめるときにも苦労します。
権限の要求も見ておきましょう。レシート撮影のアプリがカメラを求めるのは当然ですが、家計と無関係なアプリが連絡先やSMSへのアクセスを求めてくる場合は、いったん見送ってかまいません。アプリストアの権限一覧は、インストール前でも確認できます。
安全性の見極めがまだ不安な方へ
運営会社の調べ方、権限の見方、退会までの手順は、ポイ活アプリの安全性チェックで詳しくまとめています。1本目を入れる前に目を通していただくと、この先の判断がぐっと楽になります。

通知とメールの整え方
1本に絞っても、初期設定のままでは通知が多すぎます。入れた当日に、次の順で整えてしまうのがおすすめです。5分もかかりません。
マイページや設定メニューの中に「お知らせ設定」「プッシュ通知」の項目があります。キャンペーン告知・おすすめ情報にあたる項目はすべてオフにします。
ポイントの付与完了と、有効期限が近いことのお知らせ。この2つだけを残します。前者は案件がきちんと成立したかの確認に、後者は失効を防ぐために必要です。
アプリの通知をオフにしても、メールは別管理のことがほとんどです。登録時に届いた1通目の末尾に配信停止リンクがあるので、そこから解除します。
iPhoneなら「通知の要約」、Androidなら通知カテゴリごとのオフ設定で、届く時間帯をまとめられます。夜のあいだ鳴らない設定にしておくと、生活のリズムを崩しません。
この作業をやったかやらないかで、3か月後に続いているかどうかがかなり変わります。私の場合も、通知を2種類に絞ってから、ようやくポイ活が生活の邪魔をしなくなりました。届く通知が少ないと、届いたときにきちんと読むようにもなります。
2本目を足すかどうかの目安
1本で1か月続いたら、2本目を考えてもいい時期です。ただし「なんとなく物足りないから」で足すと、先ほどの崩れ方をそのままなぞることになります。判断の材料をはっきりさせておきましょう。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 1本目を1か月ほぼ毎日開けた | 足してよい |
| 貯まったポイントを実際に使ってみた | 足してよい |
| 開かない日が週に3日以上あった | 足さない。1本目を見直す |
| 期限切れで失効させたことがある | 足さない。管理方法を先に決める |
| 1本目が生活と噛み合っていない | 足さずに1本目を入れ替える |
足すと決めたら、2本目は1本目と役割が重ならないものにします。決済アプリを1本目にしたなら、2本目は買い物の前に経由するポイントサイト、というように、貯まる場面が違うものを選ぶ。同じ場面で競合するアプリを2本入れても、どちらか一方しか使わなくなります。
カード発行やキャンペーン目的で短期間に複数の申し込みをするのは、信用情報に記録が残ります。急いで数を増やす理由は、ポイ活にはありません。
そして、増やさないという選択も立派な結論です。1本のまま1年続けて、期限切れゼロで使い切れているなら、それはうまくいっている状態です。本数を増やすことがポイ活の上達ではありません。
まとめ|前回・次回
今回の要点は3つです。アプリは1本から始めること。入れる前に運営会社・有効期限・交換先・退会方法の4点を確認すること。入れた当日に通知を2種類まで絞ること。この3つを守るだけで、ポイ活が生活を圧迫しない状態を保てます。
前回の最初の一歩は1つだけ選ぶ(第2回)では、そもそも何から始めるかの選び方をまとめています。まだ1本目が決まっていない方は、そちらから読んでいただくと迷いません。
次回の第4回では、貯まったポイントを家計にどう記録するかを扱います。ポイントは「値引き」なのか「収入」なのか、家計簿にどう書けば手間なく続くのか。1本で運用しているうちに整えておくと、あとがとても楽になります。
アプリを1本入れて、通知を切って、それで今週は終わりにしてしまってかまいません。ポイ活は、走り出しを速くした人ほど途中で止まります。
